誰彼構わず「気軽に移住してきて」や「空き家とりあえず借りなよ」とは言えないと思っている件
前提として田舎暮らしの不便さや都市部との生活ギャップというのは、想像だにできないもの。過疎地であるほど、空き家がたくさんあっても誰彼構わず「気軽に移住してきて」や「空き家とりあえず借りなよ」とは言えないと思っている。
「空き家を借りる」とは「スーモで賃貸を借りる」のとはだいぶワケが違う。大家さんの実家、先祖代々続いた家などを借りるのだ…ひと言では表現できないからこそ「認識のミスマッチが起きやすい」のが過疎地への安易な移住や2拠点生活。理想だけではない現実を知ってもらうプロセスを大切にしたい。
もちろんわしも、若くて元気の良い同世代にぜひ来て欲しいと思っている。けれど、よくよく認識を擦り合わせないと、移住者も、地域もお互い「こんなはずじゃなかった」になりかねない。例えば移住希望者の方にお伝えしているのは次のようなこと。
「想像以上に、虫がでること」「草の伸びるスピードと管理は本当に大変であること」(一度、体験していただくと少し理解してもらえる)「空き家への入居は都市部の賃貸物件と同じではないこと」「野菜などはタダでもらえるわけではない。人間関係の相互のやりとりの中で何かしらと交換するもの」など。
ほかにも「道路や集落が維持されてなんとか過疎地でも生活できるのは、住民自身が協力して清掃活動などをしているから」なども、ちゃんと伝えないとイメージが持たれにくいところだったりする。そして、絶対に伝わらないだろう…という人も一定数、いる。ここが本当に難しいところだと思う。
少なくとも上述した程度の内容は、その一部分でも体験した上で「そういうリアルも面白そうだな」と少しでも思えるかどうか、という点は大切だと思う。「まーよくわかんないけどとりあえず引っ越してみてから考えれば良いよね」ではなく、1度観光ではない「暮らし」を2-3週間体験することを勧めている。
例えば、こういう事例があったときに、普段から行事や運営に参加していたりコミュニケーションをとっていると「知らんだけだから教えとこう」となるけど、あまり見かけなかったり拠点が別だったりすると、結構こじれたりするという。言われる方も、受け入れやすさ、調整や説得のしやすさが違ったり。
「無農薬で有機栽培!」は良いことばかりなのか?もちろん良い面もたくさんある有機栽培。こんな事情もあるんだ、ということを知っておくとトラブルを防げたり人に優しくできるかもしれない、という話を教えてもらった。農薬を使わないということは「疫病や虫が隣の畑に広がるかもしれない」ということ
— さかえる(榮 大吾) (@sakaeruman) August 19, 2022
『都市部の暮らしから見ると、面倒だったり、無駄だと思えたり、もっと良い方法があると思えることでも、実はその裏にはいろいろな背景、理由、理屈があり、自分の常識と異なる部分があったとしても一旦は「どうしてそうなるんだろう」という事情や背景に思いを寄せられること』が、大切なんだろうな。
それから、立場が異なれば正義も異なる。争いというのは「正義VS正義」のときに大変なことになるが、そんなときにも相手を「悪」と両断するのではなく「相手の正義」にも一度「納得できずとも理解する」という行動が必要になる、ということもかな。
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