「短期金融市場」の情報収集と分析方法まとめ
債券、株、為替、原油、仮想通貨、私たちは様々な金融商品を買うことができ、資産運用の手段は無数にあると言えます。そういった金融商品、運用商品を購入する上で、「短期金融マーケット」の分析は不可欠です。
そもそも短期金融市場とは?
短期金融市場とは、金融市場(お金の貸し借りをする市場)の大きな分類のひとつです。金融マーケットは、一般的に新聞などでよく報道されているような「株式市場(日経平均など)」と「債券市場(国債など)」があります。
そのうち1年以内の短期の資金のやりとりをするのが「短期金融市場」です。
短期金融市場は大きく分けて二種類
- 金融機関だけが参加できる「インターバンク市場」
- 一般の会社なども参加できる「オープン市場」
インターバンク市場にはコール市場と手形市場、オープン市場にはCD(譲渡性預金)、CP(コマーシャルペーパー)、TB(短期国債)、債券レポ(債券の貸借)などなど、様々な手段で資金のやりとりが行われています。
「短期金融市場」をより噛み砕いて説明すると
短期金融市場は一言で言うと、「余ったお金と足りないお金の調整弁」です。
具体的には、
「300億円余っちゃった」「3日後に使うんだけど、2日間寝かせておくのもったいないなぁ」という時には2日間資金をマーケットに放出する(つまり、「資金運用」サイド)
「ちょっと資金繰り上、2日後から1週間だけ100億円欲しいんだよなぁ」という時は1週間という短期間、マーケットからお金を融通してもらう(つまり、「資金調達」サイド)
このようなことが可能なのです。
短期金融市場をみておくと良いこと
多くの資金が動けば動くほど、株式市場も仮想通貨市場も大きく値が動きます。
つまり、沢山の資金を持っている会社(機関投資家)がどう動くか次第で、各マーケットの値動きの方向性がある程度読めるのです。
具体的には、どうやって短期金融市場の動きを見るの?
一番分かりやすい例は、「年金支給日」です。短期金融市場では「年金払い」と言われ、国庫から各銀行の口座に年金が振り込まれる日は、各銀行が「金余った!誰か受け取って!」と金融市場に資金放出(運用)するのです。お年寄りは年金が振り込まれたからと言ってそれほど一度に資金を引き出したりしないですからね。
ものすごく大雑把に言うと、給料日に多くの人が飲みに行く(サラリーマンが飲食業界に余った資金を供給)するのと同じです。
余ったお金の行き先はその時々で違いますが、短期での資金の動きを見ておくことで月内の「上旬に買うのか」「下旬に買うのか」と言った判断ができる可能性もあります。
あらかじめ「資金余剰月」「資金不足月」と言うことがわかっているものでもあるので、あらかじめいつどのような動きがあるか想定しておくことも可能になります。
仮想通貨はボーナス前に仕込め!?
このような話が出てくるのも、ボーナス支給時に投資家が資金余剰になるので、「運用先を探す」と言う行動を取るためです。
金融機関はそもそも資金が潤沢にあるので、あくまで短期金融市場での取引は一次的な資金の調整でしかないのですが、個人の投資行動には短期長期関係なく給料、ボーナス時期というものが結構関係してきます。
2017年12月~2018年1月にかけて仮想通貨市場が急騰したことの要因の一つとして、「ボーナスマネーが流れ込んだこと」は間違いなくありうる話だと思います。
とりわけ投機性が高く、個人が主要なプレーヤーである仮想通貨マーケットなどは、特に注意したほうがいいかもしれませんね。次の仕込みどきは夏のボーナスを皆が意識し始める前、つまり、4~5月ではないでしょうか。
短期金融市場の分析に必要なデータまとめ
日本銀行「わが国短期金融市場の動向」
1年に一度日本銀行が公表している短期金融市場の動向まとめです。これを見れば、最近の金融市場がどのような構造で動いているのかがとてもよくわかります。
その他、日本銀行に各銀行が開設している「当座預金残高」も公表されているので、前年や前月と比べて「減った」「増えた」要因を分析して行くと色々と見えてくるものがあります。
セントラル短資「マーケット情報」
短期金融市場のブローカー(仲介者)として、「短資会社」というプレイヤーがいます。株でいう証券会社のようなものですね。短期市場で必要なデータはこの「短資会社」がほぼ全て持っていると言っても過言ではありません。
短資会社は3社あるのですが、その中でも一番情報が充実しているのが、セントラル短資だと筆者は感じています。
まとめ
常に短期金融市場の動きを見ておくことで、「お金がどう動いて行くか」という原理原則を学ぶことができるのが最大のメリットとも言えます。伝統的投資である株などはもちろん、新興マーケットである仮想通貨などでも応用できる知識なので、ぜひ勉強してみることをお勧めします!
短期金融市場のバイブルはこの本!
あまり一般的な市場でないこともあり、ほとんど初心者向けの本がありませんが、「東京マネーマーケット」 については、金融機関のマーケット新任者が必ず読むものなので、ぜひご一読されると良いと思います。
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