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金融界の「黒船来襲」と融資に審査が不要になる日。「Amazon銀行」の噂から考える銀行業界の未来

米アマゾンの銀行業への進出、18年に中小銀買収で開始も

ECサイトの巨像・Amazonの銀行業への進出が噂されています。Amazonは既に「Amazonレンディング」という貸付サービスをリリースしており、利率は8~13%とかなり高いものの今後本格的に金融ビジネスを拡大していくかもしれません。

金融業界にとっては「浦賀に黒船」です。Amazonの銀行業参入により既存の金融機関は大きな変革を迫られ、あるいは、淘汰されていくかもしれません。Amazon銀行の強みとあるべき金融の姿について考えてみようと思います。

アマゾン銀行はあり得るか?アマゾンの強み

ズバリ「商流(サプライチェーン)」の情報を把握している(できる)ことです。物流を制する者は金融を制す、そんな時代が来ることを予言しているように思えます。

多くのユーザーを抱え、行動データまで幅広く収集できる企業の強みが今後高まっていくことでしょう。

どういうことか、具体的に解説していきます。

物流は企業の「体温計」

在庫の状況をデータ化して逐次把握できれば企業の信用力を測る指標としては最強です。❶いつ、❷誰に、❸どれだけの量を発送したかという情報が手に入れば企業の営業状況が手に取るように分かります。

商流をデータ化すれば日々の商品の動きが即「信用」に繋がり、安心して融資ができるようになるのです。

仮に営業状況が悪ければ在庫の回転期間に何らかの変化が生まれるでしょうし、売上を把握するよりも直接的に企業の状態を分析することが可能です。

つまり信用が日々目に見える形で積み重ねられていくので、融資の申込があったら即承認ができるはず。

金融機関に融資をお願いして「アホみたいに遅い決裁を待つ」なんてことは不要になるでしょう。既存の金融機関は「フロー(日々の流れ)」を見ずに「ストック(BSPLの断面)」ばかり見ているから機動的な動きが取れないのです。

「物流」を制すると広がる金融の可能性

在庫の状況、サプライチェーンの状況をリアルタイムで把握できる場合、金融面で大きな可能性が広がります。「在庫担保融資」です。

現在でも日本にはABL(Asset Based Lending/動産担保融資)という手法や、集合動産譲渡担保のような「在庫にマルッと担保権」を設定する方法があるのですが、動産は担保権設定後の管理がとても大変なので、あまり広く使われている手法とは言えません。

商品について素人同然の銀行員が見ても適切に在庫の価値を評価できず、専門の評価機関に諮問するなど、モニタリングにもコストがかかります。

その点、物流・商流をデジタルで管理し、在庫の状況をリアルタイムで把握できれば、管理コストや担保の価値計測に時間を割かずともリアルタイムでどのくらい在庫に資産価値があるのかすぐに分かるのです。

すなわち、この会社に「どのくらいの金額をどのくらいの金利で貸せるか」ということが一瞬で判定できるということになります。ECサイト基盤拡大のために積極的に技術開発を進めてきたAmazonが金融業に参入したら、いとも簡単に実現してしまうのではないでしょうか。

オリックスやマネーフォワードも?融資業務へ参入する会社たち

融資を業務として行おうとしている企業はAmazonのみならず、数多くありますのでその一部をご紹介します。

いずれの企業も「自社が持っているデータを活用」して、融資実行までスピード感ある手続きを実現しています。

そもそも融資ビジネスは「大数の法則」に従って、信用力毎に適切な金利をとれば儲かる仕組みになっています。銀行が稟議書を紙で回してハンコを押しながら融資実行を決める間にも、ライバル企業たちはデータをもとにどんどん信用ランクに見合った金利で資金を貸していくのです。

「危ない企業に目を瞑って貸せ」と言っているのではなく、「危ない企業ならそれ相応の金利をとりつつポートフォリオの一部に組み入れよう」ということです。

企業名 概要
オリックス 会計ソフト「弥生会計」の利用企業向け融資
リクルート 予約サイトのデータを使い旅館やホテルに融資
ISID 中小企業向けオンライン融資企業と提携
ソニー 傘下の決済代行会社がネット通販事業者向け融資
マネーフォワード 子会社が売上債権の回収代行。自動審査で融資
楽天 ネット通販「楽天市場」出店事業者向け融資
アマゾン 法人販売事業者向け融資「Amazonレンディング」

(出所)日経ヴェリタス 平成30年6月17日号

「血液」を制しても遅れをとる金融機関

物流が企業の営業状況を把握する上で重要になる理由は上述の通りですが、企業の血液である「お金の流れ」をリアルタイムで把握できるのは誰でしょう?そう、金融機関です。

実は(当然ですが)金融機関が最も企業の営業活動をデータで評価していくことができる立場にあるのです。口座の入出金情報を把握できれば企業活動のほぼ全てが分析できると言っても過言ではありません。

日々自分の銀行の口座に入出金に関する膨大な情報が蓄積されていくのに、融資の申込に即座に対応できないのは、現状の地位に安住し変化に挑まず胡座をかいてきたという事実に他ならないのではないでしょうか。

❶営業担当者がBSとPLを分析して、❷稟議書をWordで書いて、❸支店長に判断を仰ぐ、❹支店長のOKが出たら本部の審査部門に判断を仰ぐ…みたいなことをやっている金融機関は一瞬で淘汰されるでしょう。

Amazonなら企業の営業状況をリアルタイムに把握して、申込があった瞬間「適切な金額と金利水準で自動的に口座へ振込」くらいはやってのける可能性が高いと見ています。

「人による審査」ではなく、ビッグデータでの融資が主流になる

現在でも金融機関は、適切なポートフォリオで、貸倒率を最小限にしつつ、出来るだけ多くの金額を貸し出すことで儲ける構造にあります。

貸倒率の算定は過去のデータに基づいて決まりますので、もはや融資業務は、営業担当者の手作業による業務ではなく、日々の企業活動をビッグデータとして収集し、スピード感ある資金決済が必須になる「データ収集・分析」業務と言えるのではないでしょうか。

既にみずほ銀行もビッグデータを利用したiFinTechレンディングの提供を開始している!

メガバンクも手をこまねいている訳ではなさそうです。

(「みずほFinTechにおけるデータ利活用の取り組み」「新しいレンディングサービス開始に向けた合弁会社設立について 」より)

まだ審査しているの?与信(融資)に必要なデータは「日々の積み重ね」になる

保険業界に彗星の如く現れたjustInCaseも日々のスマホ利用データを蓄積することで適切なリスクの量を自動的に算定し、保険料に反映する仕組みを作りました。もはや決算書を紙でもらって審査する既存の金融機関の必要性は薄れていきますね。

個人でお金を借りる際にも審査にかかる時間はドンドン短くなっていくでしょう。

そもそも決算書は期末の断面データでしかないのでいくらでも操作可能です。バランスシートをよく見せるために短期借入金やCPを期末だけ返済するという例は少なからずありますので、そのような断面データだけを用いても本来の企業の力を測ることは難しいのではないでしょうか。

企業の本質的な力を測るためには日々積み重ねた行動データが必要になってくるでしょう。そしてその日々のデータを自動で取得し、リアルタイムで分析、スコア化できる金融機関だけが生き残っていくのではないかと筆者は予想しています。

蓄積した個人情報の扱いが今後の課題

行動データを活用する場合、収集したデータは完全な個人情報です。

誰もが欲しいデータではありますが個人としてはあまり他の人に知られて気持ち良いことではありません。昨今、情報流出事件が散見されますが、集めたデータの保護体制についてもCSR、SRIという文脈で投資家にとって重要な指標になるのではないでしょうか。

おわりに

少なくとも融資の申込から口座への振込みまで数日かかるような金融機関は20年後に存在価値を無くしていることでしょう。

「企業をみる眼」を養うことも重要ですが、どちらかというとデータでは把握しきれない経営者の手腕や後継者の情報、会社の雰囲気などの極めて定性的な情報の”目利き”に留め、金融機関の本質である「情報」に価値を与えて企業へ提供していくしかないのではないでしょうか。

 

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